光回線によるインターネットの高速化
前回に引き続き、日本のインターネットの歴史についてお話しします。
今回は後半、インターネットの発展についてです。
前回は、ADSLの登場までお話ししました。
ADSLは、従来の電話回線を利用してインターネット接続をする方法でした。ただし、ADSLには
・電気信号を使って通信するため物理的な距離の問題が生じ、インターネットに接続する場所がNTTの基地局から遠方になるほど通信スピードが落ちる
・周辺にある電話回線の影響でノイズを起こしやすい性質があるため、インターネット通信に影響が出やすい
などの課題があったのです。
そのため、
・傍聴されにくい
・電気的なノイズの干渉を受けにくい
・長距離でもデータの劣化が少ない
・高速である
などといったメリットがある光ファイバーケーブルを利用した通信方法が、現在のインターネット利用において主流となっています。
光ファイバー通信の歴史は意外に古く、アメリカのコーニング社が通信用光ファ イバーの実用化を発表したのは1970年(昭和 年)です。
日本では1985年(昭和60年)の2月に、北海道の旭川と九州の鹿児島をつなぐ日本初のファイバーケーブル網が整備されました。
その後、1988年(昭和63年)にNTTによってすべての都道府県の県庁所在地に光ケーブルの設置が到達し、まずは通信社がこれを利用することとなりました。
2000年代に入ると技術開発により高速化され、企業向け回線の高速化が進展しました。また、多チャンネルの動画を高速に高品質で配信できる特徴を生かして、ケーブルテレビの幹線部分に使用されるようになっています。
さらに、光ケーブルの低価格化にともない、家庭での普及も拡大しています。
なお、光ケーブルに限らず、日本のインターネット回線は長い間NTTの一社 独占状態でした。
ところが、日本電信電話公社が民営化されてNTTになったとき、いわゆる「通信の自由化」の際に、NTTの持つ光ケーブルを他社に貸借することが義務づけられたのです。
NTTの一社独占状態が終わり、新たに通信事業へ参入する事業者がNTTの回線を借りて事業を行うことができるようになりました。
それが、現在まで変わらない状況として続いています。
モバイル端末の時代へ
インターネットの普及には、モバイル端末(携帯電話、スマートフォン)の存在も忘れてはいけません。携帯電話やモバイル通信については別の項でお話ししますが、2010年(平成22年)にモバイル端末からのインターネット利用者数がパソコンからの接続数を超えました。
いまや日本でのインターネット利用の主流は、パソコンからモバイル端末へ移行したと言っても過言ではないでしょう。とくにここ数年は、スマートフォンからのSNS利用、ソーシャルゲーム、動画サイトの利用時間が大幅に増加しています。
若い人からすれば、物心ついたときからインターネットのある生活が当たり前なのでしょうが、このように振り返ってみると、ここ数十年の「情報革命」には驚くばかりです。
一方で、インターネット時代となった現在においては、新しい課題が生まれていることもたしかです。
インターネット時代の新しい課題については、また改めてお話ししますね。
このコラムの参考文献、弊社代表取締役 玉原輝基の処女作
『古代から現代までを読み解く 通信の日本史』(かざひの文庫)
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