良質な羊皮紙の産地「ペルガモン」で発明された羊皮紙
ヨーロッパでは4世紀に入った頃に、パピルス紙に代わって羊皮紙が登場しました。なお、羊皮紙3パピルス紙と同様に、製法としては正式な「紙」ではありません。
でも、羊皮紙は薄くて滑らかであり、かさばらず、パピルス紙と比べても耐久性に優れていました。光沢のある表面は、細密画の材料としてはうってつけだったのです。羊皮紙には、美しい彩色画を施した聖書が書き写され、いまでも世界各地に残っています。
有名なものに、バチカン図書館所蔵の『コデックス・バチカンヌ』、大英博物館所蔵の『コデックス・シナイチクス』というものがあります。
羊皮紙を発明したのは、紀元前3世紀から2世紀に小アジアの西岸で栄えたペルガモン王国です。ペルガモン王国では高度な文化が栄え、非常に立派な図書館を誇っていましたが、プトレマイオス朝エジプトからのパピルスの輸入だけでは紙が不足したため、羊皮紙を開発したのだそうです。
羊皮紙を英語でパーチメント(parchment)と言いますが、これはペルガモンが語源になっていると言われています。
ペルガモンは、良質な羊皮紙の産地として有名になりました。
羊皮紙は、12世紀から13世紀に紙が伝わるまでの間、西ヨーロッパでは主流の地位を保ち続けました。
羊皮紙の問題点は、原価がかさみ、大量生産ができないこと、製作日数が長くかかることです。
ご参考までに、羊皮紙をつくる手順は次の通りです。
・毛皮を剥いて水洗いして、一昼夜浸す
・それを石灰水に2週間浸けて、皮についている毛や肉を削ぎ落とす
・水から出して、石膏の粉末を振りかけて脂肪分を吸い取り、板枠に貼り付けて干す
・十分に乾いたら、表面を削って平らにする
このように、高度な技術を必要とする作業だったので、当然ながら、値段も高価になりました。
このため、紙を発明した中国に比べて、ヨーロッパでは書物が非常に限られたものしかなかったのです。
このコラムの参考文献、弊社代表取締役 玉原輝基の2作目
『仕事に役立つ、日本人のための情報の世界史』(かざひの文庫)
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