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無線〜電波に情報を乗せて(4)〜

制度があってこそ技術はより有効になる

今回は前回の続きで、映画にもなった「タイタニック号の悲劇」についてお話しします。

タイタニック号の悲劇をきっかけとして、無線通信のあり方が国際的に議論されることになりました。

じつは、タイタニック号の近くを航行していたカリフォルニア号という小型客船が事故の前に大きな氷山を見つけており、タイタニック号へ無線で連絡をして注意を促していました。ところが、タイタニック号はマルコーニ社が建設した無線局との交信に忙殺され、

「邪魔をしないでくれ」

と命じる始末。

その後カリフォルニア号の無線士は長時間の勤務に疲れ、眠ってしまいました。

事故が起きたのはそのすぐあとです。

この背景には、マルコーニ社の政策的なものがあったようです。

マルコーニ社製の無線電信機を扱う人は、それ以外のメーカーの無線機を使う人を見下して交信しない風潮がありました。小さな客船の無線を聞いていたなら

ば、悲劇は避けられたのかもしれません。

タイタニック号の遭難から3ヵ月後、無線電信会議がロンドンで開催され、マルコーニ社は

「どの電信機であっても交信するよう指示した」

と発表しました。

大きな事故への反省から、運用方針を転換したのでしょう。

そして1914年には、船舶の安全確保や人命救助の諸原則を決めた「海上における人命の安全のための国際条約」、いわゆる「タイタニック条約」が成立。

この条約により、船の構造や救命設備、無線設備などについての国際基準が決定されました。  技術とそれを有効にするための制度、両方が必要だということでしょう。

もう、タイタニック号のような悲劇を繰り返してほしくはありませんね。

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