初期の記憶媒体「磁気テープ」
いまの時代、人から人へ、もしくは現在から未来へ「情報」を伝えていくため には、「記録媒体」を欠かすことはできないでしょう。
人類は先史時代から壁画や石、粘土を記録媒体とし、古代には紙という画期的な記録媒体を経て、印刷技術の進歩も相まって、情報を人から人へ、過去から現在へ伝達してきました。この記録技術は20世紀にコンピュータが発明されて以降、 急速にコンパクト化・大容量化が進んだのです。この電子記録媒体の歴史を振り返りましょう。
1946年にエニアック、いわゆるノイマン型と呼ばれるコンピュータが発明されて以来、プログラムを記録するための装置が考案されるようになり、1950年代にはIBMが磁気テープの記録装置を発表しました。磁気による記録は、 テープもしくはディスクに磁性を帯びやすい物質である強磁性体を塗布して、その磁性を読み込むものです。
磁気を帯びたテープにデータを記録していくデータ保存方法は、1970年代頃まで使用されていました。データの保存はより安価な音声用カセットテープな どでも代用できましたが、専用のテープよりもデータの読み込みに失敗することも多かったのです。カセットテープという形状のため、読み込みに時間がかかるといった難点もありました。
昔懐かしい「フロッピーディスク」
1960年代になるとフロッピーディスク(FD)が開発され、1980年代 には値段が大幅に下がったことで、広く普及していきました。若い人はご存知ないかもしれませんが、FDは円盤状の磁気ディスクにデータを記録する装置で、ディスクのまわりをプラスチックケースで覆っているものです。円盤上にデータを記録することで、任意のデータへの直接的なアクセスが可能になったのです。
初期のFDは縦横20センチ以上ありましたが、最終的には9センチまでサイズダウンされました。容量は、9センチの頃には1.4メガバイト保存できたのです。いまから考えれば少容量ですが、当時は非常に重宝したものです。
でも、1990年代になると、CDなどの大容量が記録できるメディアが出現したこと、インターネットが普及したことで衰退していきました。2010年代になると、FDを読み取るドライブやFDの生産が終了していき、その役目を終えることになります。
このコラムの参考文献、弊社代表取締役 玉原輝基の2作目『仕事に役立つ、日本人のための情報の世界史』(かざひの文庫)のリンクはこちら。