「量子コンピュータ」は人類の未来を大きく変える可能性が高い
最近、「量子コンピュータ」という言葉をちらほら耳にします。量子コンピュータとは、量子力学の原理(重ね合わせや量子もつれ)を利用して、従来のコンピュータでは解くのに膨大な時間がかかる複雑な問題を、並列処理によって劇的に速く解決できる次世代コンピュータです。
量子ビットは量子情報の最小単位で、従来の情報量の「ビット」に対応します。
量子情報科学の世界では、従来のコンピュータを「古典コンピュータ」と呼び、従来のビットを「古典ビット」、従来の情報を「古典情報」と、すべて「古典」という言葉をつけて呼びます。わたしたちが通常学んでいるIT(情報技術)は、「古典情報技術」ということになりますね。

古典ビットは、0か1かどちらかの情報ですが、量子ビットでは0と1が重ね合わさった状態をあらわしています。古典ビットは離散的(デジタル)ですが、量子ビットは離散的と連続的(アナログ)の性質を併せ持っています。難しい表現になりますが、量子ビットは「複素確率振幅」としてあらわされます。
量子コンピュータのメリットは何かと言うと、大量のデータを瞬時に処理できるということです。具体的には、n量子ビットで2のn乗の状態を同時に計算し結果を得ることができるということになります。つまり、指数関数的に増えるデータを容易に計算できるのです。
ただし、今後すべてのコンピュータが量子コンピュータに置き換わるわけではありません。量子コンピュータで解くことのできる問題は限られており、まだ用途も極めて限定的です。現在、量子コンピュータで期待されている分野は、交通経路の最適化や薬品開発の高速化、AI(人工知能)の発展促進などです。また、金融分野にも応用できるのではないかとも言われています。
量子コンピュータは一部実用化されているとは言えまだまだ研究途上でありますが、その計算能力は圧倒的で、わたしたちの未来を大きく変えるかもしれません。
このコラムの参考文献、弊社代表取締役玉原輝基の5作目(電子書籍)『世界は情報でできている』(星野書房)のリンクはこちら。
